20代若者、退職し、四国のお遍路さん参りを歩きで回りました。

27歳、会社を退職後、野宿しながら歩いて回る四国遍路の旅に出ました。感じたことや勉強になったことなどを書きます。

はじめに

2025/04/09~2025/05/20で四国遍路の旅に出ました。
歩いて巡礼する歩き遍路を選びました。そして、テントも持って、野宿しながら回りました。
4/9に1番札所を出発し、5/16に88番札所に到着し結願しました。
そして、5/19に高野山参りをして、満願しました。
5/20の昼頃帰宅しました。

かかった費用

全部で約34万円です。ただし、バッグや持ち物の道具代は入っていません。
交通費から旅行中に買ったものなど、家を出てから帰るまでに使った費用が34万円です。

遍路用品

自分は納経帳ではなく、白衣に朱印を押してもらいました。2024年4月から納経帳だと500円(従来300円)、白衣だと300円(従来200円)に価格が変更されました。
納経料は88カ所とお礼参りと奥の院、全90カ所で27000円です。

また、他に、金剛杖や朱印用の白衣、線香やライターなど6000円ほど使ったと思います。

合計約33000円です。

交通費

安い時期に行ったので、家から霊山寺までは約5500円でした。
帰るときに高野山も行ったりして、バスやら電車やらで約15000円使ったと思います。

合計約20000円です。

食費

一番使ったと思います。ざっくり150000円ほどではないでしょうか。(1日3000円~4000円)
腹も減り、のども乾くので多めに食べます。
さらに、料金が高めのコンビニをたくさん利用したので、高くなりました。

コンビニも最近値上げが激しいです。
ただ、コンビニは名前の通りすごく便利で助けられました。感謝です。

四国は、ローソンが圧倒的に多く、次にファミリーマート、セブンイレブンといった感じでした。
ポイントがたまるので、クレジットカードや店のポイントカードを使って還元を受けましょう。

宿の費用

宿代は113510円でした。以下にまとめました。

日付 宿泊施設名 値段 食事 備考
2025/04/09(水) 遍路小屋 0 素泊まり テントを張って野宿
2025/04/10(木) 旅館吉野 7500 夕食・朝食付き 300円追加で翌日のおにぎり作ってもらえます。
2025/04/11(金) 高瀬休憩所 0 素泊まり テントを張って野宿
2025/04/12(土) 民宿ちば 7800 夕食・朝食付き
2025/04/13(日) 道の駅
わじき
0 素泊まり テントを張って野宿
2025/04/14(月) さくら庵 3600 素泊まり
2025/04/15(火) 東洋大師明徳寺 0 素泊まり 住職に許可を得て通夜堂に宿泊
2025/04/16(水) 民宿川崎 6000 夕食・朝食付き 本来は8000円だが、仕出し屋が休みでオーナー手作り料理のため
6000円にしていただきました。
2025/04/17(木) ゲストハウスよろずや 3600 素泊まり
2025/04/18(金) ウェルプラザ洋寿荘
遍路休憩所
0 素泊まり 電話で許可得て、併設された遍路休憩所にて野宿
ウォーターサーバー有り、トイレ有りと文句なし。
2025/04/19(土) カツオゲストハウス 4000 素泊まり
2025/04/20(日) 温古社 3500 素泊まり 素泊まりと言いつつ、お接待で食べ物出してくれます
朝食、普通に出ました。
2025/04/21(月) 道の駅
かわうその里すさき
0 素泊まり テントを張って野宿
2025/04/22(火) 末広旅館 4000 素泊まり
2025/04/23(水) 入野松原キャンプ場 520 素泊まり キャンプ場でテント泊。
有料シャワーあり。
2025/04/24(木) じんべえ広場 0 素泊まり テントを張って野宿。
屋根あり、有料シャワーあり。
2025/04/25(金) 民宿みかんの家 6000 夕食付き
2025/04/26(土) 鶴の家旅館 8000 夕食・朝食付き
2025/04/27(日) 40番札所観自在寺 0 素泊まり 納経所で許可を得て境内にてテント泊
2025/04/28(月) 山代屋旅館 5000 素泊まり GWで500円高い、通常時は4500円。
2025/04/29(火・祝) ホテルあいりん 5000 素泊まり お遍路さんだと5000円です。それ以外は5500円。
2025/04/30(水) 42番札所佛木寺 0 素泊まり 納経所で許可を得て境内にてテント泊
2025/05/01(木) はたご屋 霧中 5000 素泊まり
2025/05/02(金) 仙人宿記念大師堂 0 素泊まり 善根宿
2025/05/03(土・祝) 道の駅
天空の郷・さんさん
0 素泊まり テントを張って野宿
2025/05/04(日・祝) 民宿 一里木 5000 素泊まり
2025/05/05(月・祝) 松山ユースホステル 4950 夕食付き
2025/05/06(火・祝) 浅海の大師堂 0 素泊まり 善根宿
2025/05/07(水) 58番札所仙遊寺 0 素泊まり 納経所で許可を得て通夜堂に宿泊
設備は複数人使える
2025/05/08(木) ゲストハウス
BEKKU丹原
5600 素泊まり
2025/05/09(金) 西条セントラルホテル 3300 素泊まり 遍路道から少し外れる
2025/05/10(土) 観音寺グランドホテル 4400 素泊まり
2025/05/11(日) 善根宿銭形 0 素泊まり 善根宿
2025/05/12(月) 道の駅
ふれあいパークみの
0 素泊まり テントを張って野宿
道の駅に温泉(700円)あり
2025/05/13(火) 旅館みき 6930 夕食・朝食付き
2025/05/14(水) 快活CLUB
高松中央通り店
2310 素泊まり 9時間パック
2025/05/15(木) たいや旅館 3800 素泊まり
2025/05/16(金) ファーストイン高松 3800 素泊まり カプセルホテル
2025/05/17(土) お接待 0 素泊まり お接待で地元の方の家に泊まらせていただきました
2025/05/18(日) 道の駅 0 素泊まり テントで野宿
2025/05/19(月) サウナ&カプセル アムザ 3900 素泊まり カプセルホテル

その他

レンタカー借りたりしました。10000-20000円程度です。

勉強になったこと

いろいろ勉強になることがありました。

やっぱり健康が大事

15kg以上の荷物を背負って、毎日30km以上歩いて、四国一周できたのは健康だからこそ。
健康に感謝し、健康であれば幸せなんだと感じました。
健康であれば、人間の可能性は無限大だと感じました。
健康であれば、なんとかできると感じました。

慣れてしまえばなんてことない

人間は変化を恐れる生き物。それは、慣れてないから。
慣れるまでは大変だが、慣れてしまえばなんてことない。
松山市に入ってからは、足のマメもできなくなり、脚も慣れてきて、15kg以上の荷物を背負って、1日30km以上歩くのも余裕でした。
慣れってすごいです。

未来の自分・世の中をよくするように行動

結局は、この世の中をよくする。自分自身ができることを増やす。
生きていくうえで、これが大事なことだと歩きながら思いました。

今、自分や世の中をよりよくするために行動することが大事だなと思いました。

だからと言って、先を見すぎず今を楽しむ

歩いてるときに、これは強く感じました。
いい企業に入る、いい大学に入るために、今の時間を犠牲にして勉強する。
などあると思います。

もちろん、未来の自分をよくすることは大事だが、それを重視しすぎて今を犠牲にしすぎてはいけないのだと。

歩いてるとき、今日の宿をどこにしようか、明日までにあそこまでいこうか、1週間後にはあそこにいけるな。早く行動したい

など、先を見すぎて、今を楽しむことを忘れていました。

今の時間を楽しんで、苦痛と感じないようにすることも大事と強く思いました。
要するにポジティブに考え、どうすれば楽しくできるかを考えることが大事です。

空腹時の飲食は最高すぎる

食事が本当にうまくて泣きそうでした。

一日中歩いた後に、飲食する。

これってなかなか人生で経験することはないと思います。
何を食ってもおいしいし、何を飲んでもおいしいです。

特に、コーラがおいしくて泣きそうでした。自分は酒を飲みませんが、他のお遍路さんは夜のビールが最高という方が多かったです。

日常に感謝できる

お遍路は日常にある当たり前がなくなります。

トイレも常にあるわけではないので、感謝できます。
屋根も常にあるわけではないので、感謝できます。
歩きで回るので、車などの乗り物に、感謝できます。
歩いて回れたことで健康に、感謝できます。
常に一人で不安なことも多いため、他人に感謝できます。

不便と感じることは

般若心経の意味を理解

般若心経を各札所の本堂と大師堂で音読します。

結願するまでに暗記はできましたが、意味は分からなかったです。

結願後に、霊山寺の尼さんからいただいたアドバイスは般若心経に基づいたものだということで、意味を調べました。

般若心経における「空」の意味を考える

般若心経が一番伝えたいことは「照見五蘊皆空(しょうけんごうんかいくう)」です。
この言葉は、簡単に言えば「この世のすべてのものは空(くう)である」ということを表していると思います。

「空」とは何か?

「実体がなく、移り変わる」という意味です。
つまり、この世のすべては移ろいゆくものであり、固定された・絶対的なモノは存在しないということです。

  • この世のものには実体がない
  • すべては移り変わっていく
  • 絶対的な考え方や価値観も存在しない

つまり、絶対的なものはないということも含めて、霊山寺の尼さんは

枠にとらわれずにもっと大きな自分に

ということを教えてくれたのではないかと。これは胸に刻みました。

価値観や感情も「空」

さらに言えば、結果というものもまた、様々な要素が絡み合って変化しながら生まれる一時的な現象です。
これは物質的なことだけでなく、感情にも言えることだと思います。

  • 苦しいことがあるからこそ、楽しいと感じられる
  • 同じ出来事でも、人やそのときの感情によって受け取り方が変わる

だからこそ、考えや価値観などに、これが正解とか不正解みたいなものはないと思います。
すべての人がすべての瞬間に、同じ出来事に対して、同じように受け取るとは限らないですから。

「照見五蘊皆空」の理解が深まる

このように、あらゆるものは移り変わり、「空」であるという視点から見ることで、
般若心経が伝えようとしていることが、少しずつ自分の中で腑に落ちてきたように感じます。
この考えはかなり素晴らしいと思いました。

色々な考えがあり、価値観がある。
人によって合う合わないはあるが、絶対的なものなどない

すごく勉強になりました。これは今後の人生に大いに役立つと思います。

若くして、お遍路に行く意味

日本の若い人で、お遍路している人は少ないです。
特に4月~5月(若者は春休みも終わって、入社シーズンのため、忙しい)で回ったため、日本人の若いお遍路さんには会わなかったです。
同世代の若者が経験してない、だからこそ、行く意味があるのではないかと思います。

お遍路は人生の視野が広がります。

特に、20代は仕事のキャリア・働き方や、人間関係、生き方など、決めれない、わからないなど多いと思います。
大学などの教育機関を卒業すると主体的に生き方や生きる軸を決める必要があるんじゃないかと思います。
大学までは、いくら自分の人生といえども、周りに合わせたり、親や教員などの周りが進路を導いてくれることも多いと思います。

なので、主体的に人生の進路を決めるといった経験は、少ない人が多いのではないしょうか。

主体的に生き方や生きる軸を決める

これが結構難しいと思うんですよね。周りを見渡すと、

周りに合わせて流れるままに就職し、特に目標もなく、ただ会社勤めをつづける。

という人が多いようにみえます。
そこには、生き方や生きる軸がないように思えます。働いているうちにこれらが見つかることがあるかもしれないです。

そして、それらを決めるには自分を知る必要があります。

お遍路に行くと、ずっと歩いているため、いろんなことを考える時間がかなりあります。
そして、歩いていると、頭の回転がよくなり、いろいろ考えることができます。
結果、自分の特性を考慮して自分を知り、どうやって生きていくかを探ることができます。

生き方や軸が定まれば、自分のやるべきことが見つかり、有意義な人生が過ごせるのではないかと考えています。

自分もお遍路やり切ったことで今後の生き方について、だいぶ定まってきたように思えます。

また、若いうちにこうやって歩ききれば、健康にも気を遣えるようになり、自信にもつながります。
人生で大事なことが見つけれる、いい機会になると思います。

さいごに

若い人に限らず、悩んだり、自信がなくなったり、心が病んでしまったら、一度お遍路さんの旅に出てみてほしいです。
お遍路さんは、お四国病院とも呼ばれ、ある札所(たしか、5番札所地蔵寺)では「お遍路に勝る良薬なし」とも書かれています。
心身ともに健康になって帰れると思います。自分もそうでした。

この記事が、誰かの役に立てればいいなと思います。

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筆者: 福タイロン

ギャグセンス皆無、他人から気持ち悪いと呼ばれることをうれしく思ってしまう頭のおかしい人です。
野球部出身、生まれ育ちは愛知県、1998年生まれ。専攻は情報工学。